巷の日本語

インポあまりattractiveな店名とは言えない...

錦玉羊羹普通の味だった

さかなを喰わせるすごい店(Went Bankrupt Soon)「すごい」と思えないのはなぜか

においも敏感匂い“に”も敏感

訓令式ローマ字は読みづらい訓令式とヘボン式が混ざってしまっている(豊橋市)

先端大acromegalyかと思いきや...

奈良先端大大学だった

二盗を成功二盗“に”成功とすべきか

入力を失敗→入力に入力“に”失敗とすべし

お送りさせていただきます「お送りさせていただきます」は過剰敬語か

並び替え

docomo携帯画面。天下のdocomoが「並“び”替え」とは...

豊田不妊センター不妊“治療”センターとしたい

未満な「未満」に付くのは「の」ではないか

夢と希望と選挙権.....

広告

巷の英語(海外編)

The Flamboyant Writer
Oscar Wilde の肖像、あくまでもflamboyantだ。
Dublinにて

Oscar Wilde lived here
Dublinにて

keys cut
「合鍵作ります」といったところか。
次の“BOOKS BOUGHT”と同じ構文。
Dublinにて

古本買い取り (London)
「古本買います」
“We buy used books”より簡潔だ。
Londonにて

DSCF3634
「健康第一」、Dublinにて

Ha'penny Bridge
ha’penny = halfpenny。
halfpennyを正しく読めるNSがどれほどいるだろうか。
twopenceも同様。
Dublinにて

Valley of the wind
Ayers Rock, Australia
「風の谷のナウシカ」の舞台はここをモデルにしたと言われる。

Indulge yourself
Ayers Rockにて

sushi-go-around, Bondi Beach
Sydneyの回転寿司屋

Stand behind the yellow line
「(~の)内側に」は “behind”

Nightsafe area
同じプラットフォームにて

No one thinks big of you
「誰も偉いなんて思わないわよ」
Sydneyにて

opening august
“in”の無い方が簡潔でインパクトがある。
Sydneyにて

Father's day in Australia
父の日は国によってまちまちである。母の日も。
Sydneyにて

Kobiashi
Sydneyにて、“小林”が訛ったもの。

Yamashta
30年前、ロサンゼルス五輪で金メダルをとった山下泰裕五段(現八段)を報じる英ガーディアン紙。”Yamashita” でなく“Yamashta”と表記している。なるほど、-shi-の“i”を省くことでヤマしータ」とならず、-ma-に強勢が置かれ、日本語に近い響きになる。

hokka hokka sushi
ほっかほかの寿司はあまりinvitingではないが...
Sydneyにて

Design your own salad
Sydneyにて
DYO salad = Design your own salad.

eat or be eaten
Sydneyにて

CIMG0732
Sydneyにて

CIMG0733
Sydneyにて

photo sent by George (Jan. 2015)
Westminster, London。
誤りを正してみよう。

Men Have G-spots too. (London)
そうだったのか!

Lift (London)
Londonにて

CIMG1259
Londonにて

CIMG1140
Londonにて

Early Bird (NY)
さしずめ日本語の「モーニングサービス」か。
(“モーニングサービス”は中京圏に盛んな喫茶店の風習)

NY construction graffiti
NYにて

Haart is where your home is
イギリス人は言葉遊びがお好き。
Cambridgeにて。

London Tube
これも言葉遊び。
Londonの地下鉄にて

CIMG2089
London、Tooting Broadwayにある果物屋。

Lick'n Chick'n (London)
Londonにて

BA (London)
イギリス人は掛け言葉がお好き。

London (2)
Londonにて

Cairns (2)
オーストラリア人も言葉遊びがお好き。
Cairnsにて

Cairns (3)
Cairnsにて

Surfish cafe
Sydneyにて

something fishy
Sydneyにて

flutterbys
Sydneyにて

sejuiced
オーストラリア人は駄洒落がお好き。
Sydneyにて

巷の英語

niman-yen doh正しい表記法に感心した。

CIMG2062日本語は「リフォーム」

CIMG2063英語は”alteration”。Scarsdale、NYにて

B.S. (Okonomiyaki Restaurant)BSはbullshitを意味してしまうことを
お好み焼き屋のおばさんには伝えてない。

Ban Boo「文句は言わせないぞ!」ってか。
「竹宗」というビジネスホテルの看板。

Arigatou京都にて
Free care cause to become me zoo note.
To be, to be, ten made to be.と同じ類の言葉遊び。
逆(英語→日本語)の語呂合わせに、”揚げ豆腐”(=I’ll get off.)などある。

P1030668Trustの誤りかと思いきや...

P1030664そういう意味だったんだ。

CIMG5073英語でもない、日本語でもない...

Yes, I Like Pan.私の最もお気に入りの一つ。京都にて

Nature & Creature Village - Nature Centre単に”Nature Center”でいいと思うんだが...
COBUILDの定義から: You can refer to any living thing that is not a plant as a creature, especially when it is of an unknown or unfamiliar kind.People also refer to imaginary animals and beings as creatures.

Everyone Toyohashiすごい英語だわ。

CIMG2040正しくはこう言う。NYにて

間違いをさがせ!(上級編)

Tissue Paper Boxティシューボックスの宣伝文

Mischievious (USA TV)NYのテレビ放送から

May be used also次の写真参照

may also be usedSydneyにて

CIMG2045某語学書出版社のカタログ

CIMG2065G = gasoline / D = direct / I = injection らしいが、英語の語順としてはDGI(あるいはDFI (direct fuel injection) が正しい(三菱自動車)。

IMG_0445

We Love Safety誤りと断じては失礼かもしれないが、
We prioritize safety. の方がやや良いか。

Halfpenny

Halfpennyスペリングから読み方が分かる。Dublinにて。

Crocodile T-shirtこんな恐ろしい英語見たことない。

私の英語指導メモ                                                                               〈和臭を減じるために〉

1 はじめに

およそ外国語(第二言語)は母語(第一言語)の影響から自由ではない。 一般にinterference(干渉)あるいはnegative transfer(負の転移)と呼ばれるそれらは、発音において最も顕著に現われる。古典的な命題である /l/ と /r/ の区別をはじめ、/f/ と /v/ の発音、/th/ の発音などは、日本人が永久に解放されることがないようにも思われる困難を与える。発音ほど目立たないが、語義の拡大解釈や文法の過度な一般化も普遍的問題としてしばしばとり挙げられる。
蓋し、視点を変えれば、母語の干渉があるからこそ外国語なのであり、それを完全に除去しようとすることは生産的ではないし、そもそも不可能である。しかしながら、そのことを踏まえた上で、なお、誤りを分析し、可能な限りそれらを減じようとする努力は、円滑なコミュニケーションを図る上でも有益であると私は考える。
小論では、和臭を減じるために私が常日頃の授業で留意している点のいくつかをメモ形式で示す。よりよい英語教育に資するためのテーゼとなれば幸いである。

2 音声に関して

(1) 料理人はコックである

cook はコックではなくクックだと教える人が多いように思う。しかし私はコックだと教える。その方が本来の英語の発音に近いからである。文字でなく音声から日本語に入った外来語は本来の音声を保持している。類例は枚挙にいとまがない。メリケン粉、タン(牛舌)、衣類のホックなどはその一例である。同様にコックも音声から入ってきたものと思われ、cook の母音部分すなわち短い「ウ」と「オ」の中間音を保持している。 私は短母音の-oo-を有する語は、「微かに /オ/ 音を添えよ」と教える。book は /ボック/、look は /ロック/、took は /トック/、wood は /ウォッド/ とすると英語らしく聞こえるのである。

(2) Whoはフーでなくホウである

2000年10月、日米首脳会談のレセプションで、英語に弱い森首相がクリントン米大統領に向かって “How are you?” というべきところを “Who are you?” と言ってしまったために、大統領が “I’m Hillary Clinton’s husband.” と(ジョークで)答えたというエピソードが当時メディアを通じて流れたことがある。
私には、体育会系の森首相がいかに英語が苦手でも、そんな基本的な表現をご存知なかったとは信じがたい。これは、そのエピソードを伝えた側(役人あるいは報道関係者)にある英語の音声に関する誤解に起因すると私は思う。
一般に日本人が who を発音するときには /f/ 音が混じることが多いが、実際のwhoは /ホゥ/ に近い。しかるに日本語的に発音された how は、英語本来の /hau/でなく /ホゥ/ に聞こえないこともない。要するに曖昧で弱い日本人の how は who の発音に近似している。
森首相は確かに “How are you?”と言った(つもりな)のだが、残念ながらそれがクリントン氏には “Who are you?” に聞こえてしまったというわけだ。どちらのせいでもない。原因は日英の音声体系の違いにある。 《1/18付記事『たかが発音、されど発音』および『I SINK YOU’RE LIGHT』参照》

(3) 発音はカタカナで表記しても構わない*1

私は新出語の発音をしばしばカタカナで板書する。生徒を言語学者に育てるために英語を教えているわけではないのだから、発音記号を解読させることにさほどの意味はない。実際のところ、発音記号が識別できても正しい発音ができないという珍現象が日本人学習者には起こっている。
pleasure /pleʒə/ とpledger /pledʒə/ の記号は標記できるのに発音は混同してしまったり、singer を /siŋə/ と標記しつつも発音は /singə/ であったり、あるいは When was the last time /wen-wəz ðə læst-taim/ を、リエゾンも施さず有声歯擦音も出さずに、/weñ woz zə last-taim/ と発音するなどである。第1例は/プレジュァ/・/プレヂュァ/ とすると違いがよくわかるし、第3例は /ゥヌウォズダースイム/ とするとリエゾンされた音声が「見える」。
もっと初歩的な例を挙げよう。milk は /milk/ という発音記号よりも /メゥク/ の方が学習者にはわかりやすいし、woman は /ゥムン/ にごく近い。

*1  島岡 丘.1991.『通じる英会話はカタカナで』日本実業出版社

3 英文法指導に関して(動詞編)

(4) 5文型だけが文型じゃない

今から百年以上前の1904年に C.T.Onions が提唱した5文型(The Five Forms of the Predicate)が未だに通用するのは東アジア(日本・韓国・中国)だけである。第二次大戦後日本を訪れた Onions が、自分の5文型が英語教育に使われていることを知り驚嘆したというエピソードさえある。それからさらに50余年経った今でも、その化石のような文型が、日本中の高等学校の教室で金科玉条のごとく生徒の頭にたたき込まれようとしている光景は、奇妙としか言いようがない。
確かに5つという数は覚えるのには適切な数だ。しかし、実際に教室で教えながら、この文型がいかに不完全かを実感した教師は少なくないはずである。教師になり立ての頃、私はよくBirds fly. とI live in Nagoya. がなぜ同じ文型なのか、I gave it to him. がなぜ第3文型なのか、疑問に思ったものだった。
これに改良を加えたのが Randolph Quirk の7文型で、現在の英文法界では主流の考え方であろう。これ以外に、最も簡潔な3文型(三項述語)から、Stageberg の9文型、Roberts の13文型、Hornby の25文型まで様々な考え方がある。
少し遡るが、2003年度の改訂英語教科書で文型を扱っていないのはわずか1社にすぎなかった。日本の英語教育が文型の呪縛から如何様にも解放され得ないのなら、最低限、5文型は「公理」ではないということを教える側がきちんと認識する必要がある。私自身は、疑問を持つ生徒には、不完全さを補う形のsub-patternsを示すことにしている。

文型を学習して英語好きになった生徒が100人中1人いるだろうか?
文型を学習して英語好きになった生徒が100人中1人いるだろうか?

(5) こんなときは過去形 ー Thoughtful Past

下の画像をご覧いただきたい。

「駅まで迎えに行ってきます」は英語では
留守中に訪れるはずの友人(実は私)へのメモ書きだが、興味深いのは日本語との時制の相違である。「駅までみんなを迎えに行きます」を何気なく英訳するとI’ll go to pick up everyone at the train station.と未来形にしてしまいそうだが、実際の英語では過去形を用いる。つまり、そのメモを相手の人が読む時点では、その行為はすでに過去の行為になっているからである。
このような過去形の用法は日本語との比較でしか気づかないから、英米の文法書に載る由もないし、私の知る限り、いかなる日本人研究者による文献にも載っていない。私はこれを“Thoughtful Past”(相手の立場に立った過去形)と呼び、秘かな私の発見と悦に入っている。
時制のズレは次のような場合にも生ずる。チェスや将棋の投了を宣言するとき、日本語では「負けました」と過去形を用いるが、英語では現在形で “I resign.” と言う。このように、「発話が行為の完了」を示す動詞をperformative verbsといい、よくある例に、“I give up.”(降参です)、“I apologize.”(陳謝します)、牧師の “I pronounce you husband and wife.” (お二人を夫婦と宣言します)などがある。

(6) 「あなただったら/私だったら」の would 助動詞

would の用法の中で最も頻度の高いものの1つでありながら、不思議に日本の高校生用英語参考書では触れられていないのが、「私だったら/あなただったら」の would である。仮定法の項で、if-節が省かれた形として例示している参考書もあるが、使用頻度に鑑みれば扱いが軽すぎる。私は would を扱う際には必ず次のような例を示して will との相違を認識させることにしている。(簡潔を旨とするため、自然な会話の流れの中では前後や途中に入るであろう部分が、ここでは省いてある)
a.
A: I’m invited to the party. Would you go?
B: I probably would.
b.
A: You are invited to the party. Will you go?
B: I probably will.

(7) ought not to do の to は脱落することがある
次の適語句補充問題は或る文法問題集に載っていたものである。

You (     ) laughed.
1. should not have
2. should have not
3. ought not have
4. ought to have not

正解は1だが、実際の英語では3もあり得る。私自身、私の書いた文の中の ought not to do という部分をネイティブ・スピーカーに訂正された経験がある。勿論私は私の英語の方がより正しいことを知っているから、その助言はさりげなく受け流したが。
恐らく少なからぬネイティブ・スピーカーの頭の中で、could, might, should, would など圧倒的多数の助動詞に to が付かないためought にも付かないという overgeneralization が起こるのではないかと思う。
Quirk は次のように述べている。 Elicitation tests on young people have shown that, for both AmE and BrE, in nonassertive contexts the to-less ought construction is widely acceptable, and for some speakers even preferable to the construction with to in nonassertive contexts; eg: They ought not (to) do that sort of thing. Ought we (to) have done it? Oughtn’t we (to) send for the police?
「若者に多い傾向」とあるが、私の英語を直した米人は(学士号をもつ)60代(女性)だったところを見ると、幅広い層に受け容れられつつあるのかもしれない。 とまれ、「助動詞を安易に出題してはならない」というのがsecond language testing の常識ではある。

(8) may well の本義は「多分~だろう」

日本の殆どの文法参考書や問題集は may well を「~するのももっともだ」と記述している。しかしそれは二次的な意味であって、あくまでも「well(十分に)may(~かもしれない)」すなわち「多分~だ」が本義である。
Quirk は「may/might/can/could 単独だと単なる possibility しか表さないのに対して、well がつくと probability を表す」と説明している。 彼のCGOELの中の次の例文は「~もっともだ」ではしっくりこない。
It may (might/can/could) well be true that he beat her. [= It is quite likely that he beat her]
He can very well attend the meeting. [= He surely can attend the meeting.]

(9) might as well の本義は「仕方ないから~する」

これまた多くの参考書が「~したほうがいい」という訳語を与えているが、実に ambiguous である。
Quirk は CGOEL(p. 224) で次のように記述している。 The idiomatic expression may/might (just) as well is typically used to make a somewhat reluctant or sardonic recommendation: We may as well stay here the night (as look for a better place elsewhere). You might as well tell the truth (as continue to tell lies).
またLDOCE は (spoken) used to say that you will do something that you do not really want to do, because you cannot think of anything better.と定義している。「他に妙案もないから」というわけだ。
要するに might as well は「しょうがない」のである。

(10) had better は一般的助言には用いない

* When you pronounce the word total, you had better aspirate the first t.
It’s half past two. I think we’d better go home.
You(‘d) better leave before you cause any more trouble.
第2例・第3例のように「その場の助言(時に威嚇)」を表すときに用いるのが通例である。
また、had betterはthan~と共起しない。
* You had better fly to Sapporo than take a train.

(11) having not done は本当に誤りか

1996年10月27日の The New York Times のスポーツ面に次のような記事を見つけた。注目すべきは完了分詞内の not の位置である。 The Braves came into Game 6 last night at Yankee Stadium having not scored in their last 14 innings.
同様に to not do / to never do の語順も実際の英語では決して珍しくないことを付記しておく。

(12) 上から下への have「させる」/下から上への get「してもらう」

使役動詞 have の基本的な用法は「何らかの職業に携わる人にしかるべき報酬を払って(あるいは無償で)しかるべき仕事をしてもらう」と考えてよい。要するに契約による使役である。契約が介在しない文脈で have を使うと当然強制的なニュアンスを帯びる。したがって〈人〉が職業人でないときは「同等あるいは目下の人にしかるべきことをさせる」文脈で用いるのが普通であるとの説明がある。
『英会話文法』(遠山 顕著:NHK出版)には、「上から下へのhave/下から上へのget」というわかりやすいキャッチフレーズがつけられている。

(13) make oneself understood は日本人英語?

次の2例を見ると make oneself understood のニュアンスが分かる:
Aron couldn’t speak Polish. I made myself understood with difficulty.(COBUILD英語辞典)
I’m not very good at German, but I can make myself understood. (LDOCE= ロングマン英英辞典)
しかしながら、単に「意思を伝える」の意味の場合、わずか1語の communicate で済むところをわざわざ3語使う必要はなかろう。

(14) enjoyを使いすぎの日本人

A: What did you do last Saturday?
* B: I enjoyed a movie.

これではいかにも唐突すぎる。自然な会話の流れは次のようなものであろう。
A: What did you do last Saturday?
B: I saw a movie. It’s titled “The Twilight Samurai.”
A: How did you like it?
B: I enjoyed it very much.

(15) take ~ for granted が用いられる正しい文脈

この熟語を「当然のことと思う」と訳すのは misleading である。
COBUILD の定義を見てみよう。 If you take something for granted or if you take it for granted that something is the case, you believe that it is true or accept it as normal without thinking about it.
LDOCE の定義はさらに明快だ。 To expect that someone or something will always be there when you need them and never think how important or useful they are.
本義は「(あまりにも当たり前すぎて)気にも留めない/ないがしろにする」である。

(16) 形容詞用法の不定詞には can / should / will の意味が含まれる

2004年度愛知県立高校入試に語順整序問題が出題された。
Baby-sitting (children / of / take / a / job / to / is / care / small). のかっこ内を整序する問題だが、私自身問題をチェックしながら Baby-sitting is a [the] job of… と並べ始めて、一瞬ハタと立ち止まってしまった。後に続くべき動名詞が選択肢の中に見当たらないのだ。すぐに出題者の意図した正解は下記 a であろうということに気づき、或る種の衝撃と無力感に襲われた。なぜなら a は日本人学習者に頻繁に見られる典型的な不定詞の誤用例だからである。入試問題作成者(=教育委員会指導主事)にしてこの種の誤謬から解放されていないのであるから、生徒がルールを過度に一般化するのは無理からぬことである。
通常、形容詞用法の不定詞には modal な面が含意されていなければならない。私は生徒には「形容詞用法の不定詞には can / should / will の意味が含まれている」と説明することにしている。しかるに当該入試問題文にmodal な意味はなく、不定詞は使えそうにない。正しくは b のように動名詞を用いる。なお、修飾語句 of ~が付くため job にはthe を付ける方が良いように思われる。また、子守を part-time job とすることがアメリカほど一般的でないイギリスでは、job より work を適切と見なすかもしれない。なお、当該不定詞を「同格を表す名詞用法」と見なすことも辛うじて可能ではあるかもしれない。 いずれにしても、もしも私自身が、実際の会話の場面で baby-sitting を説明する立場に置かれたとしたら、単純率直に c と言うのではないかと思う。
*a. Baby-sitting is a job to take care of small children.
b. Baby-sitting is the job [work] of taking care of small children.
c. Baby-sitting is taking care of small children.
ネットには次例があった。
Babysitting is attending to the needs of children of varying ages and abilities.
類例を挙げておこう(COBUILD)。
Babysitting is the practice of temporarily caring for a child on behalf of the child’s parents.

(17) To不定詞は未来志向(future orientation)的意味合いを持つ。*2

この「定理」を不定詞の最初の授業から得意げに生徒に教えるのは避けたい。文法問題解法のコツを生徒に伝授してやりたい気持ちをぐっと抑えて、準動詞のまとめの段階で「生徒自身」が「いくつかの例文とこれまでの学習事項から法則を導き出す」ように仕向けたい。 例えば次のa、b3例ずつから、述語動詞と準動詞の表す「時」について法則性に気がついたら言ってみなさいと発問する。
a. My dream is to buy a house in upstate New York.
b. My hobbies are reading and listening to music.
a. Remember to turn off the TV.
b. I remember seeing it on TV.
a. Do you like to go surfing?
b. I really like surfing.
発言がなければ、「to buy a house / to turn off the TV / to go surfing は一体いつするんだろうね」と発問する。「じゃあ、reading and listening to music / seeing it on TV / surfing はいつの動作かな」と続ける。それでも出てこないときは、さらにstop to talk / stop talking などいくつかの例を与える。あくまでも「deductive に」が信条だ。生徒の反応を見て、最初から質問を繰り返してやるのもよい。辛抱強く待てば、「不定詞は未来、動名詞は過去・現在を表す性質がある」ことに気づいてくれる生徒が必ず出てくるはずだ。

*2 荒木一雄.1986.『英語正誤辞典』研究社.

(18) 意味のない “megafeps” はやめよう(#2参照)

動名詞を目的語に取る動詞の頭文字をとったMEGAFEPS という奇妙なおまじないを教わった記憶がある人もあろう。私はそこにさらに c/d/i/k/l/r を加えた “gramps flicked(おじいちゃんがboogerを指ではじいた)” を教えることにしている。GRAMPSFLICKEDは、それぞれgive up / risk / avoid / admit anticipate / mind / miss / practice / postpone / put off / stop / suggest / finish / loathe / imagine involve / consider control / keep / enjoy / delay / deny の頭文字だ。 ただしこの記憶法の難点は「英語の苦手な生徒には覚えにくい」ことだ。せっかくの工夫が incomprehensible input になってしまっては元も子もない。生徒の能力やレディネスに応じて与えるべきだろう。
ついでに、等位接続詞の頭文字から成る acronym の FAN BOYS (for / and / nor / but / or / yet / so) も私は気に入っていて、生徒に教えてやると結構喜ぶ。考案者の恩師 Deakins 女史に感謝する。

4 おわりに

イギリスの文法学者V. J. Cook は著書 “Chomsky’s Universal Grammar” の中で、“The differences between Japanese and English may be no more than those between an Alsatian dog and a Labrador.”と言っている。そうかもしれない、いやそう考えると気楽になれる。なるほど、日本語も英語も、文頭に主語が来て、その後に述部が続く。大枠の構造では同じだ。全く違う語族に属するのに、類似点がいくつかあることに気付くとホッとする。 (蛇足だが、Cookの1文は、“no more than”と”not more than”の決定的な違い、即ち、「not more thanの後には必ず数値を示す語句が来るが、no more thanは数値を表さない語句を従えることができる」ということを示す好例でもある。)